メチャメチャ良書!!「原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論」広瀬 隆著 集英社新書2012/12/10 21:26

「原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論」広瀬 隆著 集英社新書

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-720666-1&mode=1


今、読んでいるのだが、メチャメチャ良書です。


まさに、目からウロコ

徹底的にリアルに原発から脱出する方法が書かれています。

みんな、読んだ方が良いと思います。

この本読んでから選挙に行きましょう。


<目次より>
・日本で電力不足は起こらない
・どこにでも発電機があるじゃないか
・原発を止める具体的な手段がある
・電力会社が設置すべきガス・コンバインドサイクル
・高エネルギーでクリーンな天然ガス
・自家発電による分散型電源の普及が広がる
・家庭で使われるエネルギーの大部分は電気ではない——熱である
・エネルギー業界の主流となったコジェネ
・エネファーム(燃料電池)に期待される未来のエネルギー
・国産の天然ガスとサハリンに眠る巨大資源
・日本近海に眠る深海のメタンハイドレート
・もうひとつの貴重なガスLPG
・都会で利用できる太陽光発電・太陽熱利用
・電力の消費量を減らす方法
・電力コストの真相

内容(「BOOK」データベースより)
電力会社が述べ立てる数字を鵜呑みにしてはならない。原発などなくても電気は足りる。なぜなら、原発分を補って余りある新エネルギー技術が、すでに開発されているからだ。工場エンジニア出身で、かねてからエネルギー問題の研究に注力してきた著者が、最新のデータと知見を動員して「原発がもはや無用の長物である理由」を具体的・徹底的に解説。また、自然エネルギーに過度に期待する風潮にも厳しい批判を加える。これが「脱原発のリアリズム」だ。




 序章 関電の電力不足騒動

 日本で電力不足は起こらない


 本書は、日本の電力不足騒動について、いまだに一部の日本人が気づいていないこと、すなわち「原発がなければ電力不足が起こる」は大嘘だという事実を知らせるための書である。

 つまり、エネルギー業界の人間であれば、誰でも知っていながら、一般国民とマスメディアが知らない (あるいは充分に認識していない) ビックリするような事実ばかりが、ここにある。

 その種明かしを今からご覧にいれたい。

 原発を即時に全廃できる新エネルギー技術が、すでに日本では完全に用意されているのである。

 自然エネルギーの普及を待たずに、である。

 かつて工場エンジニアだった私は、二〇一二年夏前から関西電力(関電)が引き起こした大飯原発再稼働のための陰謀「電力不足騒動」を眺めながら、わが国が世界トップの工業立国を自任してきたというのに、これほど多くの企業家とマスメディアが電力事情について知らない姿に、自分の眼を信ずることができなかった。

 わが国から原発を廃絶するには、本来は、原発の危険性を国民が認識するだけで充分である。しかし市民運動が強く原発の廃絶を求めても、経団連(日本経済団体連合会)のように奇怪な「財界人」なる集団が登場してきて、それを妨害しようとする日本では、エネルギー業界で何が起こっているかを、誰もが知っておく必要がある。

市民運動だけでなく、産業界が共に認識して、手を結んで「原発を廃絶しても何らエネルギー不足の問題は起こらない」というコンセンサスに到達しなければならないのだ。市民連動と産業界が、それぞれ勝手に、別々の未来エネルギーを考えている現状は、まったく好ましくない。そのための具体的な解決策が、すでに実施され、成功していることを実証するのが、本書である。

 答は、すでに目の前にあるからだ。誰もが、目を開いて見てほしい。

 日本が世界に冠たる工業立国であるということは、わが国には、世界トップの技術力がある、ということにはかならない。

その工業界のシンボルである自動車業界でいえば、トヨタ、ニッサン、ホンダ、スズキ、マツダ、三菱、スバル、ダイハツ、イスズなどに代表される有数のブランドがあって、これら自動車の優劣が、「エンジンの性能」にかかっていることぐらい誰でも知っている。

ところがその意味は、それだけではない。この日本中を走り回っているエンジンは、そのまま発電機として電気を生み出せる機械なのである。

事実、ホンダは発電機のメーカーでもあり、ガス業界と組んで最もすぐれた発電システムを精力的に開拓している。

 一方、家電製品や重電機のメーカーにおいても、パナソニック(その傘下のサンヨー)、東芝、日立、三菱グループ、シャープ、富士電機など有数の企業が目白押しで、彼らもまた発電機やモーター類の専門メーカーであり、日本中にそれを普及してきた。

 たとえば洗濯機のモーターはなぜ動くのだろうか。その原理は、中学時代に習ったように、電流と磁石による電磁誘導を利用して、「電気を流す」と磁石の磁場に置かれた回転子が回り続けるという作用である。オモチヤの汽車や自動車が走り出すのは、電池から送られた電気がモーターを回すからである。それに対して発電機の原理は、現在までほぼ一世紀にわたって普
及してきた方式では、ちょうどその逆で、何らかのエネルギーで回転子を回せば、やはり電磁誘導によって「電流が生み出される」というメカニズムを利用している。

 自転車のペダルをこいでタイヤを回せば、電灯がつくことは、誰もが知っている。それと同じ原理だ。その回転エネルギーとして、落下する水で羽根を回すのが水力発電。

 風の力で羽根を回すのが風力発電。ガス、石炭、石油を燃やした熱で水蒸気を生み出し、タービンの羽根に当てるのが、火力発電である。ジャンボジェット機が翼の下につけているエンジンと同じように、ガスを燃やした時に出る噴射力をそのまま利用し、発電機を回すガスタービンもある。

 何も、電気を電力会社から支給してもらわなければ、工業界が死滅するような世界ではまったくない。

 笑ってしまうような話だ。原子力発電のように複雑怪奇で、高価で、危険きわまりない装置をつくったり、使うことが、どれほど馬鹿げているかということは、まともなエンジニアであれば最初に気づく「最も基本的な事実」なのである。

 原子力発電とは、もともと戦争用に、ウランの核分裂エネルギーを利用して原子爆弾をつくった人間たちが、その爆弾の巨大なエネルギーをコントロールしながら発電に利用しようとして考案した道具である。

 ならば、ガスを燃やすより、ダイナマイトの爆発力のほうがエネルギーが大きいからといって、家庭の台所で煮炊きをするのに、ガスコンロの代りにダイナマイトをコントロールしながら燃やそうとは、誰も考えないだろう。

 言い換えると、それほど危険な方法を使って、発電するのが原子力発電である。

 電気なんぞ、こんな危ない方法を使わずに、どこにでもあるエンジンを使って、簡単に誰でもつくれるのだよ。

 ましてや、世界トップを誇ってきた日本の工業界が、こんな発電技術で困るはずがない。

 私が工場技術者だった一九六〇年代には、多くの大工場で、自社の持っている水力ダムや発電機を使って発電することが珍しくなかった。

 ところが一九七〇年代からは、工業界が電気を電力会社に一方的に依存するようになってしまったため、電力会社が電気を送ってくれなければすべての工場やビルが停電すると、現代人が勘違いしているだけである。p-13

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-720666-1&mode=1